30-09 花束みたいな病院食
数年前に、産婦人科の病院食について
必死で調べていた時期がありました。
2人目の出産準備をしていた頃です。
1人目の出産に40時間もかかったので、
「あんな辛くて痛い想いをするなら、せめて病院食で癒されたい」
と思ったからです。
出産の入院費用は病院によって大きく違います。
あちこち調べた結果、前より少し高めではあるものの
病院食の評判が良い所に入院の申し込みをしました。
やがて臨月を迎えて再び激痛を経て出産、
その傷を見事に病院食が癒してくれました。
病院食の運ばれてくる時間が本当に楽しみで、
まるで給食を心待ちにする小学生のようでした。
感動したのは野菜の彩りが驚くほどに鮮やかだったこと。
食事のたびに花束をもらうような気持ちになりました。
そしてもうひとつはツヤツヤの炊きたてご飯です。
見事にご飯が輝いていて、その湯気にまで価値を感じるほどでした。
配膳スタッフの方に聞いたら、千葉県産のコシヒカリだったそうです。
良い素材を使っていたことも分かりましたが、
何より丁寧な仕事で心がこもっていたと思います。
退院したら、今度は私が家族に料理を作る番です。
入院中に作ってもらった病院食ほどのものは出せませんが、
あの時の感謝が料理への意欲を湧かせてくれます。