30-6 出世魚
出世魚とは、稚魚から成魚までの間に名前が変わっていく魚のことです。武士や学者が出世するにしたがって改名する習慣があったことから、それにちなんで「出世魚」と呼ばれるようになりました。
反対に、輸入されている魚で成長するにしたがって名前が変わるといった魚はありません。やはり、日本ならではの風習と関りが大きいようです。
見た目の違いや大きさ、また生体の変化などはっきりと識別できることから同じ種類の魚でも異なる名前で呼んでいます。縁起の良い魚として、祝いの席などで振舞われるようになったとされています。
成長とともに名前を変える魚は80種類以上もおり、その中でも一番多いのは「ブリ」になります。日本近海に生息するブリの稚魚は10センチ以下で、モジャコと呼ばれます。実際には、関東、関西、九州といった地域によっても呼び方は様々です。
特に、このサイズからどの名前に変わる、ということはないのですが、20センチでワカシ、ツバス、ワカナゴ。40センチでイナダ、ハマチ、ヤズ。60センチでワラサ、メジロ、コブリと呼ばれ、80センチになるとようやくブリと呼ばれます。
ブリ以外にも、スズキ、コハダ、マグロなども出世魚として有名です。ただ、明確に決められたルールがあるわけではなく、呼び方も地域によって違いがあるようです。こういった地域文化は、季節感や豊富な食文化にもつながることから、大切にしていきたいものですね。