30-11 肉じゃがの誕生秘話
肉じゃがが誕生した背景に、ビーフシチューが大きく
関わっているという話をご存じでしょうか。
肉じゃがの誕生にはいくつか説があるようですが、
私はビーフシチュー由来だという説にとても興味をひかれます。
始まりは明治時代、薩摩藩士だった東郷平八郎が行った
イギリスへの留学でした。
他国の文化を学び、日本に帰った東郷平八郎は
ビーフシチューの味を恋しく思っていたそうです。
そこで、その味を再現するために海軍の料理長に相談したのです。
煮込み料理で、野菜は玉ねぎ、じゃがいも、人参が入っている。
茶色いような黒いような色をしていて、お肉もよく煮込まれている。
確かにこれらの特徴は、肉じゃがにもビーフシチューにも
当てはまっているといえます。
これらの特徴をもとに海軍の料理長が作ってみて、
出来た料理が肉じゃがだったのです。
食べてみた東郷平八郎の反応はどうだったのでしょうか。
「イギリスで食べた味とは違うな。でもこれもおいしい」
という感じの反応だったのかもしれませんね。
まだ日本にデミグラスソースが広まっておらず、
砂糖、塩、しょうゆを使った味付けが基本だった時代です。
料理の数々は、料理人の試行錯誤のうえで生まれているのでしょう。
肉じゃがの誕生秘話は、料理の味を深めてくれる話のひとつです。