30-10 対面キッチンで見る料理風景
子供の頃にいろいろな友人宅へ遊びに行きましたが、
まだ“対面キッチン”の家はひとつもありませんでした。
今から20年以上前なので、その頃に私が見た多くの家は
昭和の終わりから平成の初めくらいに建てられたものです。
当時はまだリビングとキッチンを分けて造る形が一般的でした。
しかし時代とともに建築のスタイルが変化し、
今ではリビングとキッチンが一体化した“対面キッチン”が主流です。
「お母さんが料理をしながら子供の様子を見ていられる」という言葉を
物件情報などでもよく目にします。
しかし私は「対面キッチンてそんなにいいかな?」と思っていたのですが、
だんだんとその考えが変わっていきました。
“誰かが自分のために料理を作ってくれる姿”に
価値を感じるようになったからです。
例えば高級な鉄板焼きのお店、あとは友人の結婚式でも
「シェフが目の前で焼いてくれる」というゲストがワクワクする
空間を設けてくれる所があります。
特別な機会でなく日常生活でも、母親が料理をしている姿が見えていると
「もうすぐご飯の時間だ!あと何分だろう?」
と気持ちが高まることもあるでしょう。
いつか子供達が私から巣立ったあと、少しでも記憶の片隅に
私が料理をしている姿が残っていたらうれしいです。