30‐07 思い出いっぱいお母さんの手作り弁当
私のある友人は、これまでの人生で給食を食べたことが無いと言います。
6歳の時に受験をして私立の小学校と中学校に通っていたことが理由でした。
小学校にも中学校にもお母さんが作ったお弁当を持って
通っていたそうです。
毎朝のお弁当作りで、友人のお母さんはさぞ大変だっただろうと思います。
そして、給食が大好きだった私は、
その味を知らない友人がかわいそうな気がしました。
例えば「あのお店のハンバーグがおいしい」という話なら
そのお店へ食べに行けば味を知ることが出来ます。
しかし、大人になってから給食を食べるには公立の学校の先生になるか、
給食センターで働くしか、その経験を得る手段が思い当たりません。
しかし、友人本人は給食の味には興味が無さそうです。
話を聞いているうちに、友人はお母さんの手作り弁当が
本当に好きだったのだと分かりました。
私立の学校に入ったのが3人兄弟のうちで1人だけだったので、
お母さんが自分のためだけにお弁当を作ってくれることに
優越感があって気持ちが満たされていたようです。
じっくり話を聞くまで「給食を食べたことが無いなんてかわいそう」と
思ってしまったことが申し訳なかったです。
いろいろな愛情表現の形があるなか、友人は手作りのお弁当を通して
お母さんからの愛情を受け取っていたことが感じられました。