好き嫌いを無くすということ

私は小さな頃から好き嫌いがとても多かった。

何が嫌いって、挙げるとキリがないくらい。

小中学校の給食の時間は本当に苦痛で、

食べられずに1人休み時間まで残されることも度々あった。

その後の高校の3年間はお弁当だったし、

短大時代も一人暮しで好きなものだけ食べていたから

好き嫌いが多いことが特に気にもならないまま、私は社会人になった。

当時はまだバブルの余韻が残る頃。

上司に誘われてご馳走になるというということも多かった。

本当は優しくて温かくて、人情味に溢れているんだけど

見た目が怖くて口の悪い上司が私のことをとても可愛がってくれていて、

食事や飲みに連れて行って貰うことが度々あった。

そんなある時、その上司との食事中に私の嫌いだった春菊が出てきて

私は素直に、嫌いで食べられないんですと言ったのだけど

「お前は目上の人にご馳走になっている分際で好き嫌いを言うのか!」

と、コンコンと説教される羽目になってしまった。

けどそれをきっかけに、私は初めて嫌いな食べ物を克服してみようと思った。

友達が美味しそうに食べているのを見て、まずは納豆に挑戦してみるとこにした。

マヨネーズを混ぜるといいとか、お酒をちょっと振りかけると粘りがなくなるとか

人から聞いて色々試してはみるんだけど、あの臭いと粘りがどうしても駄目で。

結局は克服出来ないまま。

ちょうどそんな頃に再び上司に連れられて行ったのは

ちょっとお値段も高めのお寿司屋さん。

私にとって初めての体験だったかもしれない。

上司が皆の分の注文もしておいてくれて、刺身から始まり握りも何貫か出てきた。

そうして飲みながら食べて楽しい時間を過ごした〆に出てきたのが

予想もしていなかった納豆巻きだった。

「何で最後に納豆巻き⁉️」

そう思ったが、さすがに今回は食べられないとは言えない。

「たかが納豆巻きと思うなよ?ここの納豆巻きは本当に美味しいからな」

上司は自信たっぷりにそう言った。

私は意を決して口に入れたんだけど、

「・・・⁉️」

本当に美味しかった。

それまで私は、
マヨネーズやらお酒やら、納豆本来の味や粘りをごまかして

何とか食べられるようになろうと思っていた。

けどそれは間違いだった。

本当に美味しいものはごまかす必要なんてなかったのだ。

そのものの美味しさが分かる、本当に美味しいものを頂くこと。

ただそれだけだった。

その後もその上司には、沢山の美味しいお店に連れて行って貰い、

レバー、春菊、牡蠣など数えきれないほどのものの、本当の美味しさを知ることが出来た。

好き嫌いを直すというのは味をごまかして口に入れるということではない。

その素材そのものの本来の美味しさを知ること。

本当に美味しいそれを食べること。

それを教えて貰ったから、

本当に美味しいものを食べさせて貰ったから、

今の私にはでは好き嫌いがほとんどなくなっている。

偏食君のキャベツ炒め
偏食君のキャベツ炒め

料理名:偏食君のキャベツ炒め
作者:moonn

■材料(1人分)
キャベツ / 1枚
人参 / 1センチ
ピーマン / 1かけら
サラダ油 / 少々
塩コショウ / 少々

■レシピを考えた人のコメント
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